排気ブレーキの役割・仕組みとは?故障を避ける正しい使い方も

企業でトラックの購入を検討する際、排気ブレーキという言葉の意味がわからず気になった方は多いのではないでしょうか。トラックにはさまざまな種類や機能があるため、購入前に概要や仕組みを把握しておくことが大切です。

今回は、排気ブレーキの概要について、役割・場所・仕組みなどを解説します。排気ブレーキが故障する原因や修理方法、正しい使い方についても解説するため、正しい方法でトラックを活用したい方はぜひ参考にしてください。

1.排気ブレーキとは?

排気ブレーキとは、軽油を燃料として走るディーゼル車両に搭載される、補助的なブレーキ機能です。排気を表す英単語を用いて、「エキゾーストブレーキ(Exhaust Brake)」とも呼ばれます。

排気ブレーキがついているトラックやバスなどの大型車両では、排気ブレーキをオンにすることで減速が可能です。ここでは、排気ブレーキの役割や、排気ブレーキがついている場所、仕組みについて解説します。

1-1.排気ブレーキの役割

排気ブレーキの役割は、トラックが減速する際にかかるフットブレーキへの負担を軽減することです。

トラックは車両重量や荷物重量が普通車と比べて大きいため、フットブレーキのみで減速しようとした場合、大きな負担がかかります。フットブレーキに過剰な負担がかかると、フェード現象やベーパーロック現象と呼ばれるブレーキ部分のトラブルが生じる傾向です。

フットブレーキにトラブルが起きると、減速力が下がり事故の原因となります。また、フットブレーキを多用するとブレーキの部品が消耗しやすくなり、頻繁に交換しなければならなりません。

排気ブレーキをオンにすることで、フットブレーキと異なる仕組みでトラックの速度を落とすことができます。そのため、フットブレーキのトラブルや部品の消耗を防ぐことが可能です。

1-2.排気ブレーキの場所と仕組み

排気ブレーキが設置されている場所は、車両によって異なります。一般的に、エンジンが吸入する空気の密度を高める「ターボチャージャー」の排気タービン付近や、地面側にあるマフラー付近に取りつけられている傾向です。

トラックなどを動かす原動力となるディーゼルエンジンは吸入した空気を圧縮し、軽油を噴射して燃焼した力を使用して、シリンダー内にあるピストンを動かします。軽油が燃焼したあとは、エンジン内で二酸化炭素などの余計な気体が発生することから、次に空気を吸入する前に排気が必要です。排気管から余計な気体が排出されたあとは再び空気が吸入され、圧縮、燃焼のサイクルが繰り返されます。

エンジンが動作するサイクルにおける排気の部分で、車体の減速をサポートする仕組みが「排気ブレーキ」です。

排気ブレーキがオンの状態で運転手がアクセルペダルから足を離すと、エンジンから伸びた排気管の途中にある弁が閉じた状態となります。排気ブレーキが作動すると、エンジン内で発生した余計な気体はスムーズに外へ逃げることができません。排気ブレーキを効かせることで排気部分の圧力が高まり、エンジン内にあるピストンの往復運動を弱めることが可能です。これらの仕組みによって、排気ブレーキはフットブレーキとは異なる作動原理で車体を減速させます。

ただし、排気部分の弁が完全に閉じてしまうと、排気が外へ逃げられずエンジン側に逆流するため危険です。エンジンの故障を避けるために、排気ブレーキは排気の流れを適度に調整し、ピストンに適切な圧力がかかるよう設計されています。

2.排気ブレーキの故障原因と修理方法

排気量が大きく走行距離が長い中型・大型トラックでは、排気ブレーキの効きが運転中の体感でわかりやすく、故障に気づきやすい傾向です。2トントラックなどの小型トラックで排気ブレーキが故障した場合、メーターパネルのDPF警告灯やエンジンチェックランプが点灯します。

ここでは、排気ブレーキが故障する原因と修理方法を解説します。

2-1.故障の原因

排気ブレーキには、弁を制御するための電子部品が使用されています。電子部品が何らかの不具合で機能しなくなることは、排気ブレーキが故障する原因の1つです。

また、排ガス浄化装置にたまった汚れも、排気ブレーキが故障する原因となります。排ガス浄化装置とは、エンジンから排出される空気に含まれた汚れを浄化し、無害な物質に変化させる装置です。

排ガス浄化装置には、たまった汚れを燃焼させて除去する「DPF再生機能」と呼ばれるシステムがあります。DPF再生機能は排気ガスの温度上昇を利用するため、排気管の弁を一部閉じる仕組みです。DPF再生機能によって排気管の弁が閉じると、常に排気ブレーキがかかった故障状態となります。

2-2.故障の修理方法

排気ブレーキに使用されている部品は頑丈な作りのため、正しく使う限り頻繁に故障することはありません。ただし、排気ブレーキが故障してしまった場合は早めの修理が重要です。

排気ブレーキの故障原因が電子部品の不具合だった場合、パーツの修理または交換が必要となります。一方、排ガス浄化装置にたまった汚れが原因で故障した場合、「バタフライバルブ」と呼ばれる排気量の調節弁や、弁を動かすアクチュエーターなどの交換が必要です。

排気ブレーキの故障は再発しやすいため、排ガス浄化装置や排気バルブの汚れを掃除するだけでは対処できません。また、故障時の修理を自力で行うことは困難です。排気ブレーキの不調を感じた場合は、自動車の整備工場に依頼して関連部品の交換を行いましょう。

3.排気ブレーキの正しい使い方

排気ブレーキは、運転席にある排気ブレーキスイッチをオンにすると減速効果を発揮します。ただし、不適切なタイミングで排気ブレーキを使ったり、必要以上の頻度で使ったりすると故障の原因となるため、注意が必要です。

ここでは、排気ブレーキを故障させないための正しい使い方を解説します。

3-1.荷物を積んでいる場合や坂を下る場合に使う

トラックに荷物を積んでいる場合は、総重量が重いためフットブレーキだけによる減速が難しくなります。そのため、荷物を積んで道路を走っているときは、減速時に排気ブレーキをオンにしましょう。

荷物を積んでいないときに排気ブレーキを使うと、車がスリップしやすくなります。排気ブレーキは後輪に対して機能するため、荷物がなく後輪に重量がかかっていない状態では、使用しないことがポイントです。

また、長い下り坂を走る際も排気ブレーキをオンにしましょう。長い坂道で排気ブレーキを使用することで、フットブレーキにかかる負荷を緩和できます。

3-2.無駄な使用を避ける

平地を走行する際や荷物を積まずに走行する際は、排気ブレーキをオフにしましょう。常に排気ブレーキがオンの状態となっていると、エンジンに排気抵抗がかかり続け、燃費が悪くなってしまいます。

マニュアル車のトラックでは、排気ブレーキのスイッチをオンにしてアクセルペダルから足を離したあと、アクセルペダルやクラッチペダルを踏むとオフに切り替わります。排気ブレーキは常にオンにせず、無駄な使用を避けて故障を防ぎましょう。

まとめ

排気ブレーキは、ディーゼルエンジンを搭載したトラックについている補助的なブレーキです。排気ブレーキの機能をオンにすることで、通常のフットブレーキとは異なる方法で車を減速できます。

排気ブレーキが故障する主な原因は、電子部品の不具合や、排ガス浄化装置にたまった汚れなどです。故障を避けるためには、荷物を積んでいる際や坂を下る際に排気ブレーキを使い、無駄な使用を避けることが重要となります。

トラックの購入を検討している方は、排気ブレーキの仕組みや使い方を理解し、トラック選びの参考としてみてはいかがでしょうか。

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