普通免許で何トンまでの車を運転できる?3つの取得年月日別に解説

日本で取得できる免許の種類や運転可能車両条件は、道路交通法の改正とともに変化してきました。近年では「準中型免許」の新設に伴い、普通免許で運転できる車両の範囲が以前よりも狭くなっています。また、普通免許を取得した時期によって、運転できる車が異なることにも注意が必要です。

今回は、運転免許制度改正の背景と、普通免許で運転できる車両区分を取得日別に解説します。普通免許と準中型免許でどちらの免許を取得するか迷っている人は、本記事の情報を参考にしてください。

1.運転免許制度が改定された背景

平成29年(2017年)、道路交通法の改正により普通免許と中型免許の間に「準中型自動車免許」が新設されました。

出典:警視庁「準中型自動車・準中型免許の新設について」

車両総重量7.5トン未満・最大積載量4.5トン未満の自動車までを運転できる準中型免許の導入には、主に下記2点の狙いがあります。

  • トラックドライバーの人手不足解消
  • 交通事故削減

近年は通販利用の普及などによって、トラックドライバーの需要が増しています。法改正以前は、運送会社などで多用される2トントラックを運転するためには、中型免許が必要でした。しかし、中型免許を取得するためには満20歳以上かつ、普通免許などを2年以上保有していなければなりません。

ドライバーの絶対数が足りない上、高校卒業直後の新入社員は配送業務が行えないことも重なり、物流業界の人手不足は深刻でした。満18歳以上であれば受験条件に運転歴や他の資格保持を問われない準中型免許の新設によって、早期の免許取得による人材確保が見込まれています。

また、平成19年(2007年)の同法改正で中型免許が新設された際、該当車両の事故件数が減少しました。今回の準中型免許新設でも同じ効果が期待されています。

2.普通免許で何トンまで運転できる?取得年月日別に紹介

道路交通法の改正で免許の区分が細分化されたことによって、普通免許の取得時期ごとに運転できる車両総重量・最大積載量が変更されました。

車両総重量・最大積載量の意味は以下のとおりです。

●車両総重量

「車両重量」と「乗車定員の合計重量」と「最大積載量」を足した重さです。車両区分ごとに、最大量が決められています。

・車両重量

「車両(キャブとシャシ)」と「標準仕様の荷台(架装)」を足し、燃料・オイル・水などが満杯になった状態の重さです。

・乗車定員

乗員一人あたりを55kgと仮定し計算します。

●最大積載量

車両に積んでよい荷物の重さです。規定された「車両総重量」から、「車両重量]と「乗車定員の合計重量」を引いて算出します。

ここでは、普通免許の取得年月日別に運転できる車両の区分を解説します。

2-1.平成19年6月1日以前に取得した普通免許

平成19年6月1日以前の普通免許取得者が運転できる、自動車の車両総重量・最大積載量・乗車定員は下記のとおりです。

車両総重量 最大積載量 乗車定員
8.0トン未満5.0トン未満10人以下

平成19年6月1日以前に普通免許を取得した人は、車両総重量が8.0トン未満の車両を運転できます。最大積載量が5.0トン未満となるため、乗用車~4トントラックあたりが普通免許のまま運転できる車両の目安です。現在の準中型免許より大きな車両が運転できるものの、小型バス以上は運転できません。

8t限定中型免許に区分され、免許証には「中型車は中型車(8t)に限る」と記載されます。

2-2.平成29年3月11日までに取得した普通免許

平成29年3月11日までの普通免許取得者が運転できる、自動車の車両総重量・最大積載量・乗車定員は下記のとおりです。

車両総重量 最大積載量 乗車定員
5.0トン未満3.0トン未満10人以下

平成29年3月11日までに普通免許を取得した人は、車両総重量が5.0トン未満の車両を運転できます。最大積載量が3.0トン未満となるため、乗用車~2トントラックあたりが普通免許のまま運転できる車両の目安です。3トン以上のトラックを運転するためには、新たに準中型以上の免許を取得しなければなりません。

5t限定中型免許に区分され、免許証には「準中型で運転できる準中型車は準中型車(5t)に限る」と記載されるようになりました。

2-3.平成29年3月12日以降に取得した普通免許

平成29年3月12日以降の普通免許取得者が運転できる、自動車の車両総重量・最大積載量・乗車定員は下記のとおりです。

車両総重量 最大積載量 乗車定員
3.5トン未満2.0トン未満10人以下

平成29年3月12日以降に普通免許を取得した人は、車両総重量が3.5トン未満の車両を運転できます。最大積載量2.0トン未満の車両としては、乗用車~1トントラック・ワゴン車あたりが目安です。

道路交通法の改正によって、普通免許のみで運転できる自動車の範囲が狭くなりました。ただし、試験に合格できれば普通免許と準中型免許を取得できるため、免許取得直後から運転できる車両の幅は広くなっています。

3.普通免許における車両区分以外の車を運転するとどうなる?

普通免許で許可されている車両区分範囲外の車両を運転した場合は、「無免許運転」に該当します。無免許運転で科せられる主な処分は、下記のとおりです。

  • 違反点数25点
  • 2年以上の免許取り消し
  • 3年以下の懲役または50万円以下の罰金

ただし、平成29年3月11日までに普通免許を取得した人の場合、違反した車両区分によっては無免許運転ではなく「免許条件違反(違反点数2点)」となります。

【免許違反】

  • 平成19年6月1日以前に取得した普通免許で、中型・大型自動車を運転した場合
  • 平成29年3月11日までに取得した普通免許で、大型自動車を運転した場合
  • 平成29年3月12日以降に取得した普通免許で、車両総重量3.5トン以上の車を運転した場合

【免許条件違反】

  • 平成19年6月1日以前に取得した普通免許で、車両総重量5.0トン以上の準中型車を運転した場合
  • 平成29年3月11日までに取得した普通免許で、車両総重量8.0トン以上の中型車を運転した場合
  • 平成29年3月11日までに取得した普通免許で、乗車定員11人以上の中型車を運転した場合

違反点数に差はあるものの、どちらも法律に違反することに変わりはありません。運転する車両区分は、必ず規定以内に収まるようにしましょう。

「取得時期が半端で不安」「自分の判断に自信がない」という場合は、自分の免許で運転できる車両の上限を、免許センターや警察へ問い合わせることが大切です。

4.【2021年版】普通免許・準中型免許どちらの取得がおすすめ?

普通免許と準中型免許は、どちらも18歳以上で試験に合格すれば取得できます。中型・大型免許のように、免許の保有年数・運転経験を問われることはありません。

どちらの免許を取得するか迷っている場合は、下記を参考にしてください。

【普通免許】

  • 乗用車以外を運転する予定がない
  • 車を運転する仕事に就く予定がない

【準中型免許】

  • 流通業界で働く予定がある
  • 建築業界で働く予定がある
  • トラックの運転者となる予定がある

基本的に、日常生活以外で車を運転する機会がなければ普通免許で十分です。2年以内にトラックに乗る予定がある・仕事の幅を広げたい場合は、準中型免許を取得するとよいでしょう。

準中型免許は普通免許に比べて取得にかかる期間が長く、費用も高いケースが一般的です。下記は、免許を取得する順番ごとに自動車教習所でかかる料金相場となります。

免許の取得方法 料金
普通免許(MT)のみを取得する場合約30万円
最初から準中型免許を取得する場合約42万円
普通免許取得後に準中型免許を取得する場合約50万円
(普通免許(MT)約30万+準中型免許約20万円)

※教習費用のみ

教習費用の料金相場は、普通免許が約30万円であることに対して、準中型免許が約42万円と約10万円高い金額です。また、後から準中型免許を取得する場合、合計で約50万円とさらに費用が高くなります。どの取得方法を選ぶかは、今後の予定と取得費用を照らし合わせて検討しましょう。

なお、教習費用は地域や季節によって金額が上下するため、免許取得を予定する自動車教習所の料金は事前に確認してください。

まとめ

準中型免許は、トラックドライバーの人手不足解消と交通事故削減を目的として、平成29年の道路交通法改正によって新設されました。年齢などの取得条件は普通免許と同じなため、今後2年以内にトラックの運転手となる予定がある人は、準中型免許の取得がおすすめです。

トラックを運転するまでに2年以上の猶予がある場合、2トン以上を運転する予定がある場合は、普通免許から中型・大型免許を目指す方法もあります。取得済みの免許によって教習の期間や費用が異なるため、今後の予定や可能性を考慮して選択することが大切です。

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